豊胸手術の変化や素材ごとの特徴について

乳房を人為的に膨らませる豊胸手術は美容整形手術の代名詞になるほど有名ですが、その一方で手術の手順や使用される素材についてはあまり知られていません。価値観の多様化によって美容整形に対する認識も変わりましたが、豊胸に関しては正しい知識が行き渡っていない現状があります。

安全に理想のバストを形成するために、豊胸手術の仕組みや使われる素材の特徴について学びましょう。

手術で乳房を作る目的と初期の豊胸手術について

女性の乳房を外科手術で大きくする豊胸手術は現在では美容整形の一種として広く知られていますが、当初は病気などの理由で乳房が欠損した女性を対象にした審美治療として行われていました。当時は切除した傷口を隠すために乳房に似せた人工物を下着で固定させる方法が主流でしたが、この方法は衣服を着用している時に限定される欠点がありました。

また、着脱に手間がかかるうえに形状が本物の乳房とは似ていなかったことから主流の方法とはいえ、決して広く普及していなかったのが実状です。初期の豊胸手術は乳房が欠損した部分にワセリンやパラフィンを注入して成形する方法であり、裸になっても乳房の膨らみが保たれることが注目されました。

しかし、人工物を注入する豊胸手術は体への影響が考慮されていなかった問題もあります。実際にワセリンやパラフィンを注入した人の多くが強い痛みや乳房が固くなるなどの不具合に見舞われ、重大な健康被害に見舞われるケースもありました。

美容目的による豊胸手術が始まったのは1950年代のアメリカとされ、当時は映画スターやファッションモデルが自身の体形を維持するために乳房を大きくする手術を受けていました。また、その頃はシリコンが開発されたこともあり、新しい素材による豊胸手術がおしゃれで先進的というイメージがあったのも事実です。

有名スターやモデルが行っていることが大きな宣伝効果に繋がり、シリコンを使った豊胸手術は現在でも広く行われています。その反面、シリコンには発がん性があることも知られるようになったことから豊胸手術の安全性が問題視されるようになりました。

現在の豊胸手術の方法と使用される素材について

現在の豊胸手術は大別すると二つの目的で行われます。本来の豊胸手術は欠損した乳房を補うのを目的とした乳房再建術でしたが、現在において広く行われている豊胸手術は美容に関する理由が大半です。また、豊胸の内容も当初は単に大きくするだけだったものが、形を整えたり弾力性を調節するなど細分化しているのも特徴になっています。

これは初期の豊胸手術がワセリンやシリコンなどを胸部に直接注入する方法だったことが大きく関係しています。注入による豊胸は乳房が大きくはなるものの、手触りや質感は本物の乳房とは程遠いものでした。外見でも明らかに異物が入っていることがわかるケースも多く、見た目の美しさがまったく考慮されていなかったことから必然的に医療技術が向上したのです。

医療技術の向上については乳房を膨らませる方法と、使用される素材の変化が挙げられます。初期の豊胸手術はワセリンやシリコンが剥き出しの状態で体内に注入されることから、様々な健康被害の原因になっていました。やがて、シリコンを封入した医療用のパックを胸部に入れる方法が考案されると、そのメリットの多さから爆発的に広まったのです。

封入パックを使う豊胸手術はシリコンが直接触れないので健康面でのリスクが非常に少ないのが大きなメリットです。また、弾力性を持たせることもできるので、本物の乳房に近い質感を持たせることもできます。扱いが容易であり、コストが低いこともシリコンパックが広く普及した一因です。

しかし、体内でパックが破れてシリコンが漏れる問題も浮上しています。豊胸用の新しい素材として患者自身の脂肪が使われるケースが増えています。他の豊胸用の素材と異なり、自分の体の一部を使うので拒絶反応が起きないのが大きな利点です。

また、弾力性も乳房とほとんど変わらないことからリアルな質感に仕上がるのも脂肪ならではの魅力です。その反面、脂肪を取り除いた部位が凹んでしまうデメリットもあります。脂肪の量を誤ると弾力性が低下したり、乳がん検診の際に発見が遅れる可能性もあることから手術後の健康管理には注意しなければいけません。

「豊胸手術の特徴と誰にも知られずに胸を大きくする秘訣」

日本における豊胸手術の扱いについて

日本ではどのような理由であれ、豊胸手術は医療行為とは扱われません。病気などの理由で欠損した乳房を対象にした乳房再建術であっても美容整形と同様に審美治療の一種と見なされるので、費用の全額を患者が負担することになります。

また、豊胸手術の安全性についても医学的な見地から問題点が指摘されています。しかし、医療行為と扱われていないことから明確な基準が存在せず、安全管理や術後のアフターケアはそれぞれの医療機関が独自に行っているのが実状です。

そのため、同じ豊胸手術でも技術力や安全性に大きな差が生じているので慎重に選ぶことが重要になります。

「豊胸手術の種類や値段の相場はいくら?」

豊胸手術を行う際の医療機関選びについて

安全に豊胸手術を受けるには医療機関の選び方に気を配ることが大切です。美容整形に関する知識が乏しい人は料金の安さや医療機関の知名度で安易に即決しがちですが、安全な手術ができる技術力とは何の関連性も無いので注意が必要です。

医療機関の良し悪しを判断するには実際に豊胸手術を受けた人の感想を比較するのが良い方法になります。口コミサイトなど美容整形の評判を比較できる情報源を複数確認するのが安全に豊胸手術を受けるための工夫です。口コミの内容についても非現実的なものは自作自演の可能性があることから、必ず複数の意見を照らし合わせて共通点を見出すのが適切に判断するための条件になります。

術後のアフターケアに関する注意点

豊胸手術を受けた人は定期的に検査を受ける必要があることはあまり知られていません。これは体内に異物が入っている状態では体調不良に陥るリスクが高くなるためです。自分の体の脂肪を素材にする豊胸手術についても同様であり、急激に重さが加わったことによる胸部の不具合を避けるためにもこまめな検査が重要になります。

格安の豊胸手術を謳う医療機関によっては術後の検査をまったく行わない所もありますが、体調不良に陥った際の対処が遅れるおそれがあるのでそのような所を利用してはいけません。術後の健やかな暮らしのためには出費が嵩むとしても、アフターケアが充実している医療機関で手術を受けるのが最善の選択と言えます。